yumeshosetsuol’s blog

ただのOLの趣味です。今は2つの別の話を同時進行で更新しています。カテゴリーに分けると読みやすいです。

2019-01-01から1年間の記事一覧

3音目

「いい天気だね」 彼女が手で陽を透かせている。 自由な彼女を見ていると、本当に猫だったのかと思いそうだが、 そんなわけないと、冷静な自分が言い聞かせてくる。 「今日からお世話になります。よろしくお願いします」 彼女がこちらを向いて会釈する。 「…

2音目

図書館は、外の空気がちょうどいい温度だからか、入り口と窓が開いていた。 心地よい春の空気に、心なしか本も喜んでいるように見えた。 彼女を探そうと思ったその時、見つけた。 彼女は、児童書が集まるところで子供たちに囲まれていた。 周りの子供たちは…

9話

11月から始まった、世界の茶葉を集めた催し物は、初日から大人気だった。愛莉と約束したのは11月の第一土曜日だ。お茶だけに午後からの方が混むと聞き、午前中に待ち合わせをしていた。家まで迎えに行くと言ったのだが、車を出してもらうから平気だと言われ…

1音目

ある晴れた春の日。 木陰はゆっくりと風をふくみ通学路を揺れていた。 僕はその日、日直でみんなよりも早く登校していた。 周りに同じ学校の生徒はいない。 急ぎ足のサラリーマンと、優雅に散歩する犬と余生を楽しんでいるであろうお年寄りばかりだ。 こんな…

プロローグ

多分、ずっと探していた。 子供が母親を探すのとは違う。 宝物のおもちゃをたくさんのものの中から探すのとも少し違う。 心の1番弱くて柔らかい部分を、 君は掴んで、離さなかった。 そんな君に、もう一度会いたかったんだ。 その為に探していた。 君は自由…