第2話
「え?部活?」
「そう、部活」
放課後人気のなくなった教室で
親友の架純が尋ねてきた。
架純は中学からの親友だ。
マイペースで甘いものが好きで芯が強いのに
どこか抜けている。
私が男の子なら確実に好きになってしまうような
魅力的な女の子だ。
同じクラスだと分かった時は
ふたりで抱き合って喜んだ。
「私は、特に何も決めてなかったなぁ。
運動は苦手だし、だからって絵とか音楽もうまいわけじゃないし」
中学の時は架純とふたりでバスケ部に入っていたが、
面倒くさい時はサボり、疲れた時はふたりで逃げ出したりと
そんなに力を入れていたわけではなかった。
むしろ、そのサボった時に食べたアイスやドーナツなんかが最高で
覚えているのは悔しい苦しい思い出なんかではなく、そっちの方だった。
その息抜きの甲斐あって3年間続けられたといのもある。
「私も、バスケ3年間続けたけど『高校でもしたい!』ってほどでもないな。
すずと息抜きしながらなんとなくだから続けられたのかも」
どうやら架純も同じだったようだ。
「でもさ、すず。この高校は部活入らないとだめでしょ?」
「え!?」
知らなかった。そうだったのか。
「やっぱり知らなかったんだ。高校のHP見てた時も
パンプレット見てた時も、ずーっと制服見てたもんね」
図星である。
「架純が入るならまたバスケ部でもいいかなあ」
いたしかたない。腹をくくれ、すず。
「ねぇ、どうせならいろいろ見学してみない?」
架純がキラキラした瞳でこちらを見る。
「いいね、それ!早速行こう!」